新卒就職では、やりたい仕事に就くということを目標としない方がいい
これまでの就職戦線は、基本的に「より上位の企業(=企業ランク)」をめぐっての戦いでした。
しかし、現在の就職戦線では、「やりたい仕事」がキーワードとなっています。
少なくとも表面上は、就職の目標が、本音である「より上位の企業」から「やりたい仕事」へと変わってきています。
現在の就職活動を複雑化・高度化したのは、この「やりたい仕事」です。
結論から言うと、自己分析して出した「やりたい仕事」は、いい就職とは関係がありません。
したがって、
新卒就職では、やりたい仕事に就くということを目標としない方がいい
と思います。
しかし、現在は自己分析ブームであり、「やりたい仕事」の理論は、現状の就職戦線を考えた場合、避けて通れないものなので、多少遠回りとはなりますが、最小限のことを書いておきます。
それではまず、現在の就職戦線で無造作に飛び交っている、「やりたい仕事」の定義から考えていきましょう。
ご多分に漏れず、他の言葉と同様、あるいはそれ以上に、この「やりたい仕事」は、非常にいい加減に使われています。
一口に、やりたい仕事といっても、やりたい仕事には非常に幅があります。
経理がやりたい、
バイタリティーに富む営業がやりたい、
国際分野で働きたい、
食品会社に入りたい、
旅行関係の仕事がしたい、
コンサルタントになりたい、
福祉や介護の仕事がしたい、
安定している公務員になりたい、
あこがれのマスコミで働きたい、
音楽関係の仕事がしたい、
広告を作りたい、
企画がやりたい、
編集がやりたい、
テレビの仕事がしたい、
カメラマンになりたい、
ゲームクリエーターになりたい、
芝居がやりたい、
作家になりたい……などと、
言葉にすると、かなり幅広い種類のものが、やりたい仕事のカテゴリーに入ります。
やりたい仕事の内容を大胆に分類すると、
やりたい仕事=
(1)したい、なりたい、あこがれの「好き系」
(2)適性がある。今、高い実力があるという「強い系」
(3)公務員を始めとする「奉仕系・安定系」
の三つがあります。
「いい就職=安定した生活+やりがいの実現」であり、「安定した生活」と「やりがい」とを、それぞれ具体化したものが、「上位企業」と「やりたい仕事」と考える人が多いようです。
安定した生活を具体化するものは、多くの人の場合、上位企業に入ることですが、中には、より安定度が高いと思われる公務員をめざす人もいます。
本来、公務員とは社会に奉仕したいという気持ちで志望すべきものです。
しかし、現在では、安定や地位を求めて公務員を志望している人が主流のように思います。
つまり、公務員になりたい、公務員の仕事がしたい、といぅのは、やりたい仕事だからではなく、「安定した生活」を実現するためであることが多いようです。
したがって、ここでは、やりたい仕事の「奉仕系・安定系」は、やりたい仕事の分類から外して考えることにします。
つまり、やりたい仕事には二つあり、それは、
やりたい仕事=
(1)「好き系やりたい仕事」
(2)「強い系やりたい仕事」
です。
「好きこそものの上手なれ」で言えば、「好き」が好き系で、「上手」が強い系です(なお、「好き系やりたい仕事」でも、俳優・作家の類は対象外としています)。
このように、やりたい仕事にはニ系列があります。
しかし、ここに「いい就職」という観点を加味すると、やりたい仕事は、次のように考えるべきだと言えます。
学生が自己分析をして見つけようとする、やりたい仕事とは、「今の、やりたい仕事」、あるいは「今の時点で考える、やりたい仕事」です。
それに対して、いい就職の基本は「将来の専門能力がつくこと」です。
すなわち、重要なのは、「今」ではなくて「将来」です。
「やりたい仕事」を考えるときには、このような時間のズレが生じがちなことにまず注意してください。
そして、もう一つ注意してほしいのは、「今の、やりたい仕事」は、好き系でも強い系でもいいのですが、「将来の専門能力」は、強い系でなければならないということです。
「好き系やりたい仕事」で成功する人もいるのでしょうが、それは「強い」からであり、結局、将来、評価される実力(専門能力)がつくのは「強い系やりたい仕事」だけだといってもいいのです。
ちなみに、「好き系」というのは、強くなるための動機づけのようなものであり、
好きであることも、いい就職に関係してはいますが、直接影響を与えるのは、強い系です。
基本的に、新卒就職では好き系やりたい仕事(好きな仕事)を追わない方がいいと思います。
めざすのはかまいませんが、固執するのはよくありません。
いい就職のために必要な、やりたい仕事とは、「今の、やりたい仕事」ではなく、「将来の専門能力」、すなわち「将来の強い系やりたい仕事」でなくてはなりません。
つまり、自己分析して見つけるべき、やりたい仕事とは「今の時点で考えて、将来の強い系やりたい仕事」に結びつくという確信の持てる仕事でなくてはならないのです。
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