上位企業内定至上主義は、いい就職を外す危険性が高い
これまでの時代は、入った時点で勝負が決まったので、「いい就職=いい企業に入ること=上位企業に入ること」でした。
確かに、これまでの時代では、一流企業に入った方が良かったと思います。
給料や福利厚生などの待遇が非常に良かったですし、世間体も良く鼻が高かったと思います。
一流企業に勤めているというだけで社会的信用が得られ、尊敬すらされました。
はっきり言って、これまでの時代には、上位企業に入らなければ損だったとすらいえます。
これは企業ランクが高ければ高いほど勝ちということであり、受験偏差値と同じです。
前述したように、現在、就職活動と大学受験とでは、システムの違いが生じています。
これからの時代では、いい就職の最低条件(=安定した生活)さえも約束されていません。
それは、上位企業に入っても同じことです。
というよりもむしろ上位企業は、商品、価格、広告宣伝、流通(いわゆるマーケティングの4P)などに優れており、名刺のパワーも強いため、
本人の努力が少なくても、そこそこ売れてしまうことが多く、また組織や方法論もしっかりしており、工夫の余地や判断する機会が少ないという側面もあります。
その結果、社員の実力がついていかないということも意外と多いように思えます。
また、上位企業では、不景気になったときの、社員同士の生き残り競争も過酷です。
バブル時代には、下位校からも、多くの学生が上位企業に入社できました。
彼らは、入ってから幸せになっているのでしょうか。
残念ながら、リストラされた人も多いと聞きます。
私の勤務していた学校でも、上位企業に入った人の転職率は比較的高く、全員辞めているというケースも珍しくありませんでした。
上位企業内定至上主義は、学校の宣伝や学生募集のためには役に立っても、卒業生の幸せに直結するものではありません。
にもかかわらず、前にも触れたように、就職指導はいまだに「上位企業内定至上主義」で行なわれています。
バブル期の痛い経験が、ほとんど生かされていないのは残念なことです。
そもそも就職は、期間的にも、内容的にも、今(入るとき)のことより、将来(入ってから)のことの方がずっと比重の大きいものです。
考えてみれば当たり前のことです。
それなのに、大学受験と同じように、入ることだけに躍起になったのは、日本的雇用があったからです。
「入ってしまえば、後は安心」という制度があったので、ランキング上位の企業を選び、その試験に合格するという就職活動で良かったのです。
しかし、「日本的雇用=入ってしまえば、後は安心」がなくなったのに、同じやり方をしているのはいただけません。
頑張って上位企業に入っても、先にあげた、リストラされて再就職ができない中高年のようになってしまっては意味がないのです。
職安に職を求めて集まってくる人の中には、上位企業に勤務していた人も少なくありません。
これまでの時代も、これからの時代も、上位企業に入れる人は優秀な人であると思います。
今、再就職できない中高年の人も、入る時点では高い実力があったのです。
つまり、再就職できるか否かということと、勤務していた企業ランクとは、ほとんど関係がありません。
これまでの時代には、ただひたすら上位企業をめざして頑張るという就職活動は、安定した生活だけを考えれば文句のないものでしたが、
これからの時代は、入った時点で勝負がつくわけではないので、
上位企業内定至上主義は、いい就職に直結するものではない
と言えるのです。
より明確に言えば、いい就職を外す危険性が高い活動だと思います。
ちなみに、「ただ上位企業をめざしても意味はない」などと言うと、この件に関しても、
「そんなこと言われなくても分かっているよ」
という反応をする人が実にたくさんいます。
多くの就職マニュアルや指導者も「上位企業に入ったってダメだ」的なことは述べており、耳にタコができている人もいると思います。
しかし、たとえ「上位企業≠いい就職」説が展開されていても、ほとんどの就職マニュアルや指導者の教えは、上位企業への内定がメインの目標となっています。
それは就職マニュアル等だけが悪いのではなく、学生本人も、親も、学校も、上位32企業への就職を熱望しているという動かしがたい現実があるからです。
「これからの時代」と「安定した生活」を同時に考えないと就職活動は迷走する
なぜ「これからの時代」と「安定した生活」について以前から繰り返し書いているかというと、これらは、いい就職を考えるための大前提であり、これがないと、結論や正解がいくらでも出てきてしまうからです。
また、この二つのことを書かないと、今の就職活動方法を変えてみようという気になってもらえないからです。
理論を生み出すうえで、前提は極めて重要なものです。
それなのに、前提条件がはっきりしていない就職マニュアルや指導者が、あまりにも多いと思います。
現在、多くの就職マニュアルが出ており、就職に関するありとあらゆることが書かれています。
一冊の本の中で、相矛盾する主張が述べられていることも珍しくありません。
私は仕事柄、多くの就職マニュアルや就職情報誌などに目を適します。
中には、正直な感想として、乱暴な教えだなと思うものもあります。
しかし、その部分だけを取り上げてみれば、その内容は基本的にはすべて正しいと言わざるを得ません。
仮に複数の対立し合うことが書かれていても、条件を変えて考えれば、すべてのものは正解になってしまうからです。
「これからの時代(入ってからが勝負という実力主義の時代)」が明確な条件となっていなければ、相変わらず、上位企業に入ることが一番、ということになります。
また、「安定した生活(年功賃金・終身雇用の実現)」が条件になっていなければ、
「やりたい仕事に就こう」
「仕事だけが人生ではない」
「好きな仕事で生きよう」
「なりたい自分になろう」
「お金より自分の余暇を大切にした方がいい」
「フリーターや契約社員でも生きていける」
などと何でも書けてしまうのです。
確かに、親が大金持ちで、大きなマンションを経営しているなど、将来にわたって生活が保証されているのなら、やりたいことをめざしてもかまわないのかもしれません。
しかし、就職に生活がかかっていないような人は、初めから就職マニュアルなど読んでいないでしょう。
また、当たり前のことですが、フリーターや契約社員で一生やっていけるわけがありません。
これらの仕事は、年齢が上がっても給料は上がっていかないことが多く、
中高年以降、「安定した生活」を営んでいくことは困難です。
しかし、年功賃金・終身雇用という前提がなければ、「フリーターでも生きていける」というのは、決して間違いではありません。
「就職せずに、いきなり作家をめざす」でも正解になります
(ちなみに、やりたい仕事を見つけるためにフリーターになる人もいるようですが、フリーターの立場で、やりたい仕事を見つけることは、まず無理でしょう。詳細は、いつか話しますね)。
最近では、時代の変化を謳う就職マニュアルが増えてきました。
「大企業に入っても安心ではない。
上位企業に入っても、リストラされたら意味はない」
などと書く本もたくさん出ています。
しかし、それではどうしたらいいのかという問いに、
「企業ランクではなく、自分のやりたい仕事をしよう」
という回答を出してしまっています。
しかも、そのやりたい仕事の内容が、社会人からみると突拍子もないものであることも少なくありません。
一般的に、やりたい仕事と安定とはトレードオフの関係であるため、現実的には、やりたい仕事を追うと、安定した生活ができないことが多いものです。
その結果、
「安定した生活のためには、上位企業に入った方がいい。
しかし、上位企業に入ってもダメ。
やはり、やりたい仕事をしよう。
でも、やりたい仕事を追うと安定が……」
ということになり、多くの就職マニユァルは、
「上位企業 → やりたい仕事 → 上位企業…、」
の無限ループに入ってしまっています。
あるいは、「こういう考え方もあります。また、こういう孝完もあります」などと、ただ羅列している就職マニュアルも見かけます。
これでは読んでいる人が救われません。
どうしてこういうことになってしまうかと言うと、「これからの時代」と「安定した生活」を別々に考えているからです。
多くの就職マニュアルは「これからの時代」を出した瞬間に「やりたい仕事」を持ち出すため、「安定した生活」という前提がなくなってしまっていることが多いようです。
いい就職を考えるための大前提である「これからの時代」「安定した生活」は、同時に考えなくてはならないものであり、単独で考えても、いい就職とはなりません。
この単純なことが分かっていない就職マニュアルや学生が意外に多いのです。
一方を無視して一元的に考えれば、どうしても「現実離れした、いい就職」となってしまいます。
いい就職を考えるための大前提を無視した就職マニュアルや指導者の教えの下で、実際に活動する学生は、たまったものではないと思います。
間違った、いい就職の教えに従えば、就職マニュアルの無限ループに巻き込まれて、グルグル回りながら迷走していくことになります。
そして、迷ったあげく、最的な方向としては、古典的な目標である1位企業内定ゲットに向かって、一直線に突き進んでいく人が圧倒的に多いのです。
そして、「やりたい仕事」は上位企業内定のためのツールとなり、偽りの就職活動を展開してしまうのです。
「入ってからが勝負」という側面を忘れ、上位企業内雪目標とした就職活動をしてしまえば、ミスマッチは必然です。
大学は、入った人のほとんどが卒業しますが、就職では、入社後三年間で三分の一の人が辞めています。
自分を偽った就職をすると、自発的失業者の一人となる可能性が高いのです。
これは「安定した生活」を自ら絶ってしまうということでもあります。
いくら努力をしても、目標が間違っている、あるいはあいまいなままで、いい就職ができる可能性は、当然ながらかなり低いと言えます。
当サイトでは、大前提を強く意識しながら、「これからの時代」の中で「安定した生活」を実現するためにはどういう就職をしたらいいのか、
さらに、本来、いい就職に不可欠である「やりがい(精神的要素)」をも加えた、いい就職をするためには何を目標にしたらいいのかということを、またの機会にで詰めていくことにします。
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